マイナンバー制度が始まって半年が経ちます。「収集」「運用」については情報も充実しており、対応商品もかなり市場に出回っていますが、ここに来て「管理」の面で看過できない事例が急浮上してきました。
それは「修理」です。
富士通、日本HP、エプソンなどのパソコンメーカー大手は、パソコンの記憶装置(ハードディスクなど)にマイナンバーの情報が残っている場合は「修理できない」との見解を出しています。実際に修理規約にも記載されているため、今後は他のメーカーも追随するのではと思われます。
ユーザーの責任においてマイナンバーを完全消去した場合は受け付けてくれるとの事ですが、消去したいパソコンが壊れている状況ではそれなりの知識がないと消去も不可能です。また、ハードディスクそのものが壊れた場合は、修理を諦めるしかないということになりかねません。
マイナンバーの漏洩について民間業者や個人が対象になる罰則は、重いものだと「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」となっています。それ以上に企業イメージ低下の懸念もあるため、メーカー側も利益を生み出す訳ではない修理でそこまでのリスクは負いたくない、というのが正直な所のようです。
実際には、おそらくマイナンバーが入っていない旨の誓約書などを差し出すことで修理は受け付けてもらえると思います。しかし、もしそのPCからマイナンバーが流出した場合に、修理をした会社は誓約書をタテに責任を問われず、修理に出した側が必要な措置を講じなかったとして罪に問われる事態も想定されます。
修理を諦めて廃棄するにしても一筋縄ではいきません。壊れたハードディスクはデータの消去が難しく、特殊な装置で強力な磁気をかけて消すか、極端な話ですが一度修理して消去するしかありません。いずれにしてもある程度の費用をかけて処分せざるを得ないでしょう。
よって、壊れたPCはデータの復旧が不可能なまで破壊して廃棄する、が現時点では最良の回答のような気がします。こうなると技術って何だろうと思ってしまいます・・・